無効と取消と解除と解約はどのように違うの?

法律行為の無効とは,法律行為がはじめから効果のないことをいいます。
民法では,
・権利の乱用
・公序良俗に違反した法律行為
・錯誤による法律行為
が無効とされます。

取消とは,取消の意思表示をした場合に無効になることをいいます。
民法では,
詐欺による法律行為を取消
脅迫による法律行為の取消
が認められていますが,これだけでは消費者の救済にはならないため,消費者契約法で種々の取消事由を認めております。

解除とは,解除の意思表示をすることで法律行為がなかったことになること,あるいは解除の意思表示をすることによって,それまで続いてきた法律関係を将来に向かって解消することを言います。
民法では,契約違反があった場合に解除を認めております。 売買契約の解除は,はじめから売買契約がなかったものとして商品と代金の相互返還が求められますが,賃貸借契約の解除は,それまでの賃貸借契約は清算しないで,将来に向かってのみ賃貸借関係を解消することになります。

特定商取引に関する法律(旧訪問販売法等)では,訪問販売におけるクーリング・オフとして契約の解除が認められています。

解約も解約の意思表示をすることによって,法律行為がなかったことになること,あるいはそれまで続いてきた法律関係を将来に向かって解消することを言います。

では,解除と解約の違いは何か?効果は同じですが,
解除は相手方が債務不履行をした時に契約を解消をする場合に使われ,解約は,例えば借家契約で家主に正当理由がある場合に賃貸借契約を解約する場合のように,相手方に債務不履行の責任がない場合に使われます。
しかし合意で契約を解消する場合は,専門家でも,合意解除とも合意解約とも言いますので,解除と解約という言葉が厳密に使い分けられているわけではありません。