5 責めない心

1 「責めない」という言葉の意味
ここで「責めない」ということは,目の前で話をしている相手を責めない,ということです。
目の前にいる人と話をしていて,その話の中に出てきた知人を責めないということです。
その話の中に出てきた見知らぬ人を責めない,ということです。

2 責める効果
責める相手が,目の前の家族であれ,友人であれ,話題の中の知人であれ,見知らぬ人であれ,責める行為は,常に,あなたの心から平常心を失わせ,心を汚すか,低めるかの効果しかありません。

3 責めることの前提を欠いていた場合
責める態度は,あなたの認識している事実,あなたの考え,あなたの感情,つまりはあなたの主観的価値が,正しいのだという前提で,その価値の基準に合致しない人の言動を責めるものですから,責めた後で,あなたの基準(例:認識していた事実)が間違っていたという場合も,当然起こりえます。
その場合は,取り返しのつかない結果になることもあり,家族間に溝を作り,友人を離れさせ,見知らぬ人を責めた場合でも,その責める言葉を聴かされた人の心を失います。
ですから,「責めない」ことは大切です。

4 責める前に
どうしても責めたいという感情を抑えきれないときは,一日黙してみるのです。一晩考えた後に,はたして「責める」という感情がなお残っているかを見るのです。
そうすれば,たいていの責めるという気持ちはなくなっている筈です。

5 責めない努力
「責める」ということは,簡単なことです。智恵も要らなければ,努力も要りません。
反対に,「責めない」ということは,簡単なことではありません。
努力が要ります。
智恵も必要とします。

6 結論
要は,簡単に人を責める人は,単純で,智恵なく,努力のない人と言えましょう。
容易に人を責めない人は,知恵ある人,忍耐心のある人,賢い人と言えるでしょう。
あなたが,責める人か,責めない人かは,あなたの言葉を聴く人は,見ています。
あなたが,得意になって人を責めているとき,あるいは,非を鳴らしているとき,あなたの得意顔の中の,単純さ,智恵の浅さ,賢くない様が,多くの人の目に,耳に,晒されているのです。